日本遺産の旅レポート
Text:内藤 千尋
Photos:佐々木 哲平
~日本遺産のストーリーを辿るしっとり美肌の旅
山陰で活躍中のフリーアナウンサー・石原美和さんが旅した石見国。日本遺産のストーリーを辿りつつ、石見神楽・日本酒など“神とつながるツール”を通じて新たに見つけた石見旅の魅力とは。
自然に囲まれた温泉リゾート「風の国」で目覚めた3日目の朝は、宿泊施設に隣接する和紙工房「石州勝地半紙」を訪れました。
手漉きの和紙を使ったランプシェードの柔らかな光が灯るオリジナルショップ「風のギャラリー」に足を踏み入れると、奥からオーナーの佐々木さんご夫妻が温かい笑顔で出迎えてくれました。
石州とは、石見国の別の呼び方のこと。ここ石見地方では室町時代の頃から和紙作りが盛んで、紙漉き職人の数やその品質の高さにおいて、国内有数の和紙の生産地とされてきました。近年では職人の数が減少し、伝統的な手法で和紙作りを続けている工房はごくわずかになってしまいましたが、ここ石州勝地半紙もその中の貴重な一軒。6代目である佐々木誠さんは、伝統的な紙漉きの技術を継承しつつも、和紙の素晴らしさとその素材としての可能性を少しでも多くの方に知ってもらいたいと、この場所で和紙を漉き続けています。
取材当日は、和紙の原料を甑で蒸す伝統的な工程「そどり」の数日前。ちょうど明後日「そどり」をやるんですよ、と話しながら、日本遺産構成文化財にも指定された甑とそどり小屋を案内してくださった佐々木さん。
旅行者にも人気の「紙漉き体験」を石原さんも工房でさせてもらうことに。チャレンジするのは、小さな花びらを漉き込んだ可愛らしいミニランプ作りです。工房の周辺で佐々木さんご夫妻が育てている色とりどりの可憐な花の花びらを、自らの手で選んで摘んで、手漉きの和紙に漉き込むのです。
佐々木さんの丁寧なレクチャーを受けて、順調にランプ作りが進んだ石原さん。
完成品の仕上がりは?
「和紙を通すと光が柔らかくなって、灯りに癒されます。ご夫婦が一枚一枚丁寧に漉いた和紙のこの優しい手触りを、次の世代に受け継いでいきたいですね。」
Text:内藤 千尋
Photos:佐々木 哲平