日本遺産の旅レポート
Text:内藤 千尋
Photos:佐々木 哲平
~日本遺産のストーリーを辿るしっとり美肌の旅
山陰で活躍中のフリーアナウンサー・石原美和さんが旅した石見国。日本遺産のストーリーを辿りつつ、石見神楽・日本酒など“神とつながるツール”を通じて新たに見つけた石見旅の魅力とは。
石見地方の神楽といえば石見神楽が有名ですが、この石見神楽の原型と言われているのが大元神楽です。大元神楽とは、古くから島根県西部にあった大元という神様の信仰に由来します。大元は恵みを与える神であるとされ、農山地では秋の収穫が終わると神に感謝の気持ちを表し、神を楽しませるための舞として、この大元神楽が生まれたと言われています。
そんな大元神楽の伝統を今に伝え、大切に残していくために設立されたのがここ「大元神楽伝承館」です。大元神楽は昭和54年に国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
「地区によりますが、だいたい6年に一度奉納される神楽で、最大の特徴は『神がかり』によって神のお告げを聞く『託宣』という儀式が受け継がれているところです。五穀豊穣、無病息災を願うための神事としての神楽なんです。」
大元神楽について丁寧に解説してくださったのは、飯尾山八幡宮氏子総代長を務められている本山徳幸さん。
石見神楽がエンターテインメント性という要素が強いのに対し、大元神楽はあくまで伝統的な神事として代々受け継がれてきたという歴史があります。伝統を忠実に再現し、今も邑智郡と江津市内の各地で定期的に奉納されています。
そんな中、やはり課題となるのが後継者不足。過疎化が進み、大元神楽奉納に携わることのできる若者が減ってきているとのこと。
「これだけ長く伝統が受け継がれていること自体、素晴らしいことですから、なんとか次の世代に伝えていくためにも、まずは大元神楽のことをもっと知っていただく機会が増えるといいですね。」
まだ大元神楽は鑑賞したことがないという石原さん、次回秋の奉納神楽が開催される時には、ぜひ足を運びたいと目を輝かせていました。
Text:内藤 千尋
Photos:佐々木 哲平