石見を知り尽くした地元民がこっそり教える、石見旅を120%楽しむ秘訣
もっと楽しく。もっとディープに。
石見国を旅するなら、観光ガイドに載っているお決まりのコースを巡るだけじゃつまらない。ここでしか見られないもの、ここでしか味わえないもの、などなど一挙にご紹介。これを読んでから旅すれば、石見国の奥深さにきっと貴方もハマるはず。
石見国にはかつて「石州左官」と呼ばれる腕利きの左官職人が多数存在した。彼らが神社仏閣や蔵の土壁に施した、漆喰と鏝(こて)を使ったアートは「鏝絵(こてえ)と呼ばれる。」石州左官の技術レベルは全国的にも高く、現在も各地に素晴らしい芸術作品を見ることができる。中でも”左官の神様”と称された松浦栄吉氏による西性寺の「鳳凰」は圧巻。石見銀山を訪れた際には、こちらもお見逃しなく。
美術館・劇場が一体となった文化施設、グラントワ。この建物を特徴付けるのは、屋根だけでなく壁一面を覆った赤い「石州瓦」の美しい表情である。もともと屋根材として長く愛されてきた石州瓦を壁材として採用したことで、光の角度やその日の天候によって壁が豊かな表情を見せる、他に類を見ない新しい日本の建造物となった。美しさと丈夫さを兼ね備えた芸術的な壁の質感を、ぜひその目で確かめてみて。
国立公園・三瓶山の北の原にあるご当地バーガー店。島根県産の食材を厳選して作られたハンバーガーには、ふっくらとしたバンズ、素材の持ち味を生かした島根産肉100%のパティ、契約農家の新鮮な野菜が使われている。三瓶産わさびを使ったわさび漬けを挟んだわさびバーガーなどの変わり種も人気。ログハウス風の店内でも食べられるが、天気がよければテイクアウトして、北の原大草原のど真ん中で三瓶山を眺めながらハンバーガーを頬張るのが最高に気持ちいい。
石見地方に伝わる伝統的工芸品・石州和紙。約1300年前にこの地方で生まれ、以来大切に守られてきた紙すきの技術・技法がある。キメが細かくたいへん丈夫で、表面に品の良い光沢があるのが特徴。石州和紙会館では、石州和紙の手すき体験(要予約)ができ、小さな子どもから参加可能。手すき和紙が出来上がるまでの手間暇を体感すると同時に、手すきの面白さ、出来上がった和紙の味わい深さを知ることができるだろう。
日本海と山々に囲まれた石見地方では、とびきり新鮮な魚介類と良質なお肉、そして種類豊富な山菜などの自然の恵みが豊富。この豊かな食材と、石見神楽の世界を融合させたご当地めし「神楽めし」は石見旅の必食メニュー。神楽めしをメニューとして提供しているレストラン・お食事処は石見地方各所にあり、浜田港で水揚げされた新鮮な海の幸が贅沢に載せられたえびす丼や、石見の豊かな自然で育ったお肉をぎっしり敷き詰めたオロチ丼などが味わえる。
山陰の小京都と呼ばれる津和野には多くのパワースポットが存在する。日本の五大稲荷のひとつ「太皷谷稲成神社」は、参道の千本鳥居をくぐり抜けると御本殿があり、ここから眺める津和野の町並みは壮観。さらに聖母マリアが降臨した数少ない地、乙女峠にあるデュエットフォンは、日本に3台しか残っていないという受話器が2つ付いた公衆電話で、カップルが同時に通話すると愛が深まる恋愛パワースポットとして人気。
清流・高津川の支流である匹見川の浸食によって形成された渓谷、匹見峡。車窓から名勝を眺めることのできる「表匹見峡」と、トレッキングコースを辿って滝を見ることのできる「裏匹見峡」、さらに「前匹見峡」「奥匹見峡」とエリアが分かれている。いずれも"秘境"と呼ぶにふさわしく、手つかずの美しい自然を満喫できるが、より秘境感を楽しみたいなら裏匹見峡・奥匹見峡がおすすめ。
石見銀山の世界遺産登録地区に含まれる温泉・温泉津温泉。懐かしい情緒を残す町並みは、落ち着いた昭和レトロな雰囲気が随所に見られ、温泉通が通う大人の温泉地として人気。 外湯は「薬師湯」と「元湯」の2箇所あり、いずれも源泉かけ流しで高めの湯温が特徴的。昔ながらの番台があったり、古いままのマッサージ機が置いてあったりと、脱衣所の雰囲気までもが古き良き昭和を思わせる。
地下への階段を下りると、そこは太古の森。約4000年前、三瓶山の火山噴火で埋没した森は、大きなもので高さ12m、根回り10mを超え、そびえたつ巨木が神秘的で圧巻の眺め。現存する埋没林の中でも、ここまで木の幹が長く直立しているケースは世界的にも希少で、国の天然記念物に指定されている。静かな中に広がる太古のパワー、驚異の世界を体感してみよう。
益田市にある居酒屋「田吾作」は、居酒屋の達人・太田和彦氏が選ぶ日本百名居酒屋にも選ばれた銘店。新鮮な日本海の幸を使ったおふくろの味が大好評のこの店では、このあたりの名物・鴨島はまぐりが味わえる。清流・高津川の豊かな恵みに育まれ、大きさ7〜9センチまで成長した特大はまぐり。見た目のインパクトだけでなく、引き締まった身の中に凝縮された濃厚な旨味と甘みは格別!希少価値が高く、なかなか市場に出回らないため、地元で食すのがおすすめ。旬は4月中旬~10月中旬ごろ。